企業ドキュメント:株式会社山崎文栄堂 櫻井 友子氏

株式会社山崎文栄堂 部長 櫻井 友子氏

「会社は安心できる自分の居場所。ありがとうの繋がり。」

株式会社山崎文栄堂アスクル事業部部長の櫻井友子です。本日、多くのご縁ある皆様にご参加いただき、とてもうれしく思います。私からは入社してからの会社の変化と、自分自身の変化についてお話しさせていただきます。

私は、2002年4月に入社しました。現在、入社14年目となります。入社からの10年間は、目の前のことだけに必死になる毎日でした。休みの日も、朝晩の時間も関係なく、仕事の連絡・指示・確認で携帯電話がなり、気持ちが休まる瞬間がありませんでした。ミスや失敗が多かった私は、社長の山崎から直接指導を受けることがたくさんありました。失敗すると怒られる、目を合わせないようにしよう、と社長や上司を避け続ける毎日で、何か指示を受けても、「わかりました」「大丈夫です」「がんばります」という最低限の返事しかしていなかったと思います。「ついていけない」「自分のようなタイプの人間はこの会社の中に居場所がない」毎月、毎年「辛い、辞めたい」と心の中で呟きながらも、「会社を辞める」と言い出す勇気もなく、どんどん辞めていく社員を見送る10年でした。

目の前のことに追われ、ただこなす毎日が続いた時、当時住んでいた地下鉄の駅で電車を見ながら、「きっと明日も来週も、来年も、同じ気持ちでこのホームに立ち、電車に乗るのだろう。いつまで私はこの毎日を繰り返すのだろうか。」と先が見えないことを辛く感じたことを覚えています。その頃の私にとって、仕事は生活をするために必要なことであり、嫌な気持ちになるのも、仕事ばかりに時間を費やすのも収入のための犠牲として仕方がないものだと思っていました。

5年くらい前からなんとなく会社の変化を感じ始めました。新規事業に配属となり、不安でいっぱいだったとき、当時上司だった若狭さんに勇気を出して自分のネガティブな気持ちを伝えました。最初は、「こんなことを言っても、否定されるだけかもしれない」と思っていました。ですが、実際に返ってきた言葉は違いました。「素直な気持ちを教えてくれて嬉しい。初めてのことは誰だって不安になる。僕は櫻井さんが乗り越えられると信じているし、今はまだ理解してもらえないかもしれないけど一緒に頑張ろう。」と、私の気持ちを受け入れ、期待し、応援してくれました。その時感じた安心感、体の緊張が解ける感覚は今でも忘れられません。そのことをきっかけに、私自身の考え方が変わりました。今までは、社長・上司に対して「本当に思ったことを言えない、相談しても仕方が無い。」と思っていましたが、相手を信じて、良いことも、悪いことも、本当の気持ちを相談できるような関係に変わりはじめました。その考え方の変化が仕事の仕方の変化にも繋がりました。

入社してからの10年間、私が表彰されたのは皆勤賞だけでしたが、5年前のその年、社長賞をいただくことができました。そして、本当に思ってることを言い合える会社の雰囲気、上司や仲間からの期待や応援で心が動き、行動と結果が変わることを、実体験を通じて学びました。この頃から、私にとって会社が「安心できる自分の居場所」になり、仕事とは「お役立ちを通じて、自分の価値観、世界観を広げる場」に変わってきました。

この一年でも会社が大きく変わりました。今までは新しい取り組み、新しいツールが増えるばかりでしたが、この一年は「辞める決定」がたくさんありました。大きなきっかけは1年前に参加したチームビルディングの研修です。3泊4日、役員・幹部が会社を空けて屋久島に行き、5人で登山をする研修でした。お互いのペースを気遣いながら、助け合いながら、経験したことのない山に登り、同じ達成感、自然との一体感、チームとしての信頼感を感じて戻ってきました。その日の夜、自然と5人で部屋に集まり、本当に思っていることを言いあう場ができました。若狭さんから「意味もなく続けていることは辞めよう。ツールに依存するのではなく直接のコミュニケーションを大切にする会社にしていきたいですよね。」と提案があり、幹部それぞれが思っていることを言いあいました。山崎さんもその話を受け入れてくれました。

一番大きな変化は、一方的な指示・報告義務の廃止です。今までは、「耳に入ったか?」だけが報告の基準でした。山崎さんからの指示も、昔は土日・時間を問わず一方的に来て、受け取った私たちも、指示の内容がわからなくても「わかりました」と返信していました。ツールを使ったことで効率的に情報のやりとりはできたかもしれません。ですが、情報は耳には入りますが、自分の気持ちが反発して心には届かず、当然行動も変わりませんでした。社長からも「リーダーシップ研修に行ってきたら?」と言って頂き、最初は「現場も忙しいのにまた研修で毎月2日間取られるのか?」と思っていました。しかし、人の価値観や思考の違い、コミュニュケーションや、人が生きる意味について学び続けることで、当時社内で起こっていた不満ばかりを言う社員の本当はわかってもらいたい心の叫び、寂しい気持ちや、喜ばれていないことを知りながらただやり続ける虚しい気持ちなどその人だけが見ている世界観に触れ、違いを認めネガティブな感情にも、深い意味があることがわかり、心を大切にしてあげることができるようになりました。仲間が見ていてくれる、助けてくれる、認めてくれる、まわりとのつながりを大切にしていくフィールドに、山崎文栄堂は変化しはじめました。

今は、直接会って話をして、山崎さんの思いを感じたり、自分の感じたことを伝えることができるようになりました。「伝えたか?」ではなく、「伝わったか?」がコミュニケーションだということが社員全員が気づくようになりました。多くの「辞める決定」があり、その分、自分の体を大切にする時間、自分を成長させる時間、仲間とコミュニケーションをとる時間が増えました。これは残業時間にも表れています。この1年間で残業時間が月平均50時間は減りました。残業時間は減りましたが、先ほど山崎の発表にもありました通り、業績は109%となりました。また、5月に開催されましたアスクル本部主催の営業コンテストでは、3000人の営業マンの中からおかげさまで新規開拓部門3位として表彰をいただき、9位の清家さんとともに壇上にあがることができました。

一方で、この1年では多くの得意先が解約となる出来事がありました。今まででしたら社長・上司からのプレッシャーで焦りと不安、諦めだけだった思います。ですが、山崎さんも若狭さんも「とにかくお役立ちをしていこう」という言葉をかけてくださり、それが安心と励みとなりました。どうやったら買っていただけるか?どうやったら取引できるか、という売込みや、数字を追いかけるのではなく、相手のことを思って「どうやったらお役に立てるかを考える」という当たり前のことができるようになったら、不思議と縁と縁がつながり、ご紹介や良いご縁をいただくようになったのです。
「売上は追わない」「幸せな社会を創り、拡げる」とこの場で発表されてから一年が経ちました。はじめてこの言葉を聞いた時は「本当に大丈夫だろうか」「『幸せ』な会社を目指したいけど、それだけでよいのだろうか」と正直思いました。私の中で「売上げを追うこと」と 「幸せ」はまったく別のものでした。ですが、1年間たった今考えると、「幸せ」というキーワードの中に売上も含まれていると感じるようになりました。お役立ちを考えて、お客様に喜んでいただき、お客様のうれしい気持ちが私もうれしく、感謝がつながっていく、そのようなありがとうのつながりが、私にとっての幸せであり、「幸せな社会を創り拡げる」というビジョナリー経営の第一歩を踏み出せたと自信につながりました。自分自身が幸せに感じるこの気持ちを、チーム全体、会社全体、関わるすべての方々に拡げて行くことで、私自身も幸せな社会を拡げて行きます。

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